「亡くなった方の兄弟やその子ども(甥・姪)の人数が多く、相続人が把握できない」
「生前に前妻との間の子どもや認知した子どもがいると聞いた」
「相続の手続きを進めるにあたって、養子縁組をしていた人がいなかったかを調べたい」
遺産を分ける話し合い(遺産分割協議)を始めるためには、まず「誰が法律上の相続人なのか」を正確に特定する必要があります。もし相続人を1人でも欠いたまま遺産分割協議を進めてしまうと、その内容は原則として無効となり、後からやり直しが必要になる可能性があります。特に親族関係が複雑な場合、戸籍の収集や解読には大きな手間と専門知識が必要です。当事務所では、戸籍の収集・確認を通じて複雑な親族関係を整理し、相続手続きの前提となる相続人の特定をサポートいたします。
相続人調査において直面しやすい3つの複雑なケース
親族間で把握している情報だけでは、法律上の相続人を正確に特定できないことがあります。特によくご相談いただくのは、以下の3つのケースです。
1. 兄弟姉妹やその子ども(甥、姪)が多数いる場合
亡くなった方に子どもや孫などの子孫がおらず、親や祖父母などの直系尊属もいない場合、相続権は第3順位である兄弟姉妹に移ります。兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、その子ども(甥・姪)が相続人になることがあります。これを代襲相続といいます。このようなケースでは、相続人の数が多くなり、10名以上になることもあります。誰が存命で、どこに住んでいるのかを戸籍から確認していく作業は、個人の方にとって大きな負担となることがあります。なお、兄弟姉妹の代襲相続は甥・姪までであり、甥・姪の子どもには原則として再代襲しません。
2. 前妻の子や婚姻外で認知した子がいる可能性
「以前の結婚で子どもがいたらしい」「婚姻関係のない相手との間に子どもがおり、認知していたようだ」という噂や断片的な情報がある場合、それを戸籍で確認する必要があります。前妻・前夫との間の子どもや、認知された子どもは、現在の配偶者との子どもと同じく第1順位の相続人になります。特に認知の事実は、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍を丁寧に確認しなければ、見落としてしまう可能性があります。こうした相続人の存在は、遺産分割協議の前提に大きく関わるため、早い段階で確認しておくことが重要です。
3. 養子縁組の有無を確認したい場
実子以外に養子縁組をしている人がいないかを確かめることも重要です。普通養子縁組の場合、養子は実子と同じ相続権を持ちます。一方、特別養子縁組の場合は、原則として実の親との法的な親子関係が終了するため、相続関係も異なります。そのため、戸籍上の養子縁組の記載を確認し、普通養子縁組なのか、特別養子縁組なのかを慎重に整理する必要があります。
複雑な相続こそ、戸籍収集と相続関係の整理が重要です
相続人を特定するには、亡くなった方の「出生から死亡まで」のすべての戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍などを揃える必要があります。
【古い戸籍の解読と全国の役所への請求】
本籍地を何度も変更している場合、それぞれの本籍地の役所に戸籍を請求しなければならないことがあります。また、古い戸籍や改製原戸籍は手書きで記載されているものもあり、専門知識がないと内容を読み取るのが難しい場合があります。戸籍を途中で読み落としてしまうと、相続人を正確に特定できない恐れがあります。
【遺産分割協議を見据えた事前の備え】
弁護士に調査を依頼することで、単に戸籍を集めるだけでなく、調査結果に基づいて相続関係を整理することができます。相続関係図をまとめておくことで、誰とどのように遺産分割の話し合いを進めるべきかを把握しやすくなります。
また、預貯金の解約や不動産の相続登記では、戸籍一式や法定相続情報一覧図など、相続関係を示す資料が必要になることがあります。早い段階で相続人を整理しておくことは、その後の手続きを円滑に進めるためにも重要です。