「自分が亡くなった後、家族の間で遺産をめぐるトラブルを起こしたくない」
「特定の子どもや、長年お世話になった人に多めに財産を遺したい」
遺言書は、あなたが築き上げてこられた大切な財産を、あなた自身の意思で最も望ましい形で引き継ぐための有効な手段です。事前に適切な遺言書を作成しておくことは、残されたご遺族が「遺産争い(争族)」に巻き込まれるリスクを減らし、家族の絆を守るための大切な備えになります。このページでは、遺言書作成における重要なポイントと、弁護士へ依頼するメリットを解説します。
後悔しない遺言書作成のための3つのポイント
ただ単に「財産を分ける」と書くだけでは、かえってトラブルを招いてしまうことがあります。法的に有効で、家族がもめにくい遺言書にするためには、以下の3つのポイントを押さえて設計することが重要です。
1.「誰に・どの財産を・どう分けるか」を明確にする
不動産、預貯金、株式、その他の資産を、誰にどのように引き継ぐかを具体的に記載する必要があります。
【分けにくい財産(不動産など)の注意点】
自宅などの不動産は、複数人の共有名義にしてしまうと、将来的に売却や管理をめぐって相続人同士でもめる原因になることがあります。特定の相続人に引き継がせるのか、不動産を売却した現金を分ける方法(換価分割)を想定するのかなど、事前にトラブルになりにくい方法を検討しておくことが重要です。
2.「相続人の取り分(遺留分など)をどうするか」を調整する
配偶者や子ども、親などの一定の法定相続人には、法律で認められた最低限の取得分である「遺留分」があります。(兄弟姉妹には遺留分はありません)
【遺留分を侵害する遺言のリスク】
「特定の親族にすべての財産を譲る」といった、他の相続人の遺留分を大きく侵害する遺言書を作成した場合、相続発生後に「遺留分侵害額請求」を受ける可能性があります。その結果、せっかく遺言書を遺しても、親族間で金銭的な請求や話し合いが発生し、対立に発展してしまうことがあります。遺言書を作成する際は、将来の紛争を防ぐために、相続人の取り分やバランスを法的な視点からあらかじめ確認し、慎重に設計しておく必要があります。
3. 「遺言執行者」をあらかじめ指定しておく
遺言書に書いた内容を、実際に手続き(預貯金の払い戻し、不動産の名義変更、有価証券の解約など)として実行する責任者を「遺言執行者」と呼びます。
【遺言執行者の指定が重要な理由】
遺言執行者が指定されていない場合、手続きの内容によっては、相続人全員の署名や実印の押印が必要になることがあります。非協力的な相続人がいると手続きが完全にストップしてしまうリスクがあるため、あらかじめ、中立で手続きに精通した弁護士などを遺言執行者に指定しておくことで、遺言書の内容に沿った確実な手続きを進めやすくなります。
安全性が高い「公正証書遺言」の作成
遺言書にはいくつか種類がありますが、当事務所では、後々のトラブルを防ぐために最も安全性が高い「公正証書遺言」での作成をおすすめしています。自分で作成する「自筆証書遺言」には、内容の不備による無効リスクや、親族による破棄・改ざんの恐れ、さらには相続発生後に「認知症で正常な判断力がないときに書かされたものだ」と主張されて遺言無効確認訴訟などの争いに発展するリスクがあります。
公正証書遺言(公証役場で作る遺言書)のメリット
- 公証人が作成するため、法的な不備で無効になるリスクを抑えやすい
- 原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざん、隠匿の心配がない
- 作成時に本人確認や意思確認が行われるため、後から「本人の意思ではなかった」という主張への備えになりやすい
- 家庭裁判所の検認手続きが不要なため、相続開始後の財産手続きを進めやすい
こうしたメリットを最大限に活かすためにも、事前に弁護士へ相談し、法的な視点でのアド バイスをもとに公正証書遺言の作成サポートを依頼することが有効です。高齢の方や判断能力に少しでも不安がある場合でも、将来の無効主張に備えて医師の診断書を準備するなど、弁護士ならではの先を見据えた対応を事前に講じることができます。